ロードキルされた鹿を食べるすゝめ

これは何

 これは2022年10月頭にロードキルされていた哀れな鹿をありがたく頂いたので、その備忘録です。

※グロテスクな写真などを含むので、苦手な方はお戻りください。

 

本題

 友人4人で高知に行った帰りのことです。それなりに楽しくも疲れる旅行を終え、国道372号を走りながら京都府に入った瞬間。23時頃で、上手くいけばそこまで遅くない時間には布団に入って寝られるな~と考えていた時のことです。

 

道のど真ん中に鹿が落ちていました。

 

一度は騒然となった車内でしたが、京都市の鹿はあまり頭が良くない(と言ったらかわいそうですが、ライトを見ると動きを止めたり車に突っ込んできたりする)ので、たまに見る光景ではあります。とりあえずは衝突しなかったことにホッとし、素通りしたのですが、車に乗っていたうちの1人がボソっと言いました。

 

「あの鹿、食べられるんじゃない?」

 

道路のど真ん中に鹿が落ちている状況というのは、他の車が衝突する恐れがあって余り宜しくありません。とりあえず轢かれてしまった哀れな鹿の様子を確認するために、我々は鹿の元へと引き換えしました。皆さんも、落ちている動物の死体などを見つけた際は、邪魔にならないように道路脇にどかすなどしましょう。

場所はここ

 

鹿との邂逅

 かくして引き返してみると、ありました。横たわった鹿の姿が。

無残な鹿の姿

残念ながら鹿はもう息絶えていました。しかし、写真の通り外傷もほとんどなく、非常にきれいな姿です。

とりあえず身体に触れてみると、まだ温かい。そして道路に流れ出ていた血はまだ固まっていませんでした。これはまだ轢かれて時間が経ってない鹿だ!と判断しました。(※鹿にはマダニが多く付いていることがあるので、素手で直接触れてはいけません)

そこで4人で話し合ったところ、特に反対意見が出なかったこと、そして私が住んでいる寮まで1時間程度の距離であったことから、鹿は寮に持って帰って食べることになりました。(※動物の死体を車に積むことに抵抗がある人がいる場合は、反対を押し切って積載してはいけません)

 

かくして幸か不幸か、眠れぬ夜が始まったのでした……。

車に積み込まれる鹿

 

そもそも

 ロードキルされて死んでしまった鹿を持って帰って食べることは法的に問題ないか、という話ですが、法学部生に聞いたところ多分大丈夫だという話を頂けたので多分大丈夫だと思います。詳しい方がいたら教えてください。

 

解体

 本題に戻ります。鹿と共に帰ってきたはいいものの、既に死亡から時間が経過している鹿なので、さっそく解体を始めました。幸い、鹿の解体に詳しい人と生き物をさばいて食べることに知見のある人がいたので、滞りなく進みました。

 さて、一番困ったのはマダニと解体場所です。マダニは沸騰させたお湯を次々と浴びせることである程度は殺せました。加えてゴム手袋を付けることで噛まれる対策をしました。解体は(写真の段階では写っていませんが)たまたま不要な大きな板と都合の良い車があったので、鹿の足を車に括りつけて板の上で解体が進みました。

 

解体の道中の絵面はかなりグロテスクであるので省きますが、知見のある人々のおかげで思ったよりスムーズに事が進みました。私は学校でカエルの解剖などをしていないので、初めての解体は生物について詳しく知る良い機会であったと同時に、普段気軽に食べている豚や牛、そして食肉解体作業員の皆様に深い感謝の念を抱けたので、とても良い体験であったと思います。

 

内臓などを詰めた袋。死体遺棄現場ですね。

そんなこんなで3時間ほど、鹿は立派な鹿肉となりました。とても美味しそうです。

 

このサイズの鹿の足は冷凍庫に入らないので、この後、肉をそぎ落として冷凍する作業が続きました。全ての鹿肉の処理が終わったころにはもう午前6時。睡眠時間と引き換えに大量の鹿肉をゲットすることができました。

 

まとめ

1.ロードキルされた鹿を見つけても、作業できる環境や人が揃っていない限りは持って帰らない方が良いです。しかし、交通の妨げになるので余裕があれば道路脇に除けましょう。

2.京都の山には鹿がたくさんいます。普通の車で轢くと車が大破するのは避けられないので、慎重に運転しましょう。

3.鹿肉を自分で獲って食べたい場合は、狩猟免許を取りましょう。

4.食肉を食べる時は、感謝の念を持ちましょう。

 

後日談

 手に入れた鹿肉は、鹿肉餃子と鹿肉シチューになりました。鹿肉は野生特有の臭みがあるので、匂いが強い食材と一緒に調理するか、煮込み料理にするのがオススメです。