これは何
2025年9月20日に、トルコからイランに陸路で越境しました。陸路越境はロマンがあって良いですよね。イラン➡︎トルコ方向の陸路越境に関する情報やブログ記事は無数にあるのに、トルコ➡︎イラン方向は全く見つからなかったため、この度執筆することにしました。
ちなみに、かなり運に助けられたので、あまり参考にならないかもしれません。
そもそも
トルコ最高峰アララト山(5,137m)に登るために、トルコの東の果てにいました。この辺りはイラン・ナヒチェヴァン・アルメニアとの国境付近です。アララト登山については以下をご覧ください。
9/19にアララト山を下山した後、ジョージアに向かうかイランに向かうか悩み、イランに抜けることとしました。理由としては主に以下の3点です。
- シンプルにイランという国にずっと行きたかったから
- 情勢的理由により、シリアのようにいつ行けなくなるかわからないので、日本人がビザ免除されている間に行こうと思ったから
- イラン-UAE間はフェリーが就航しており、UAEに抜ければかなり安く日本に帰れるから(結果的にフェリーは欠航になったのですが......)
今回辿ったルートおよび移動手段は以下の通りです。トルコの国境の町ドゥバヤジット(Doğubayazıt)からイランの国境の町バザルガン(Bazargan)に抜けて、そこからタブリーズ(Tabriz)まで移動しました。大型バスターミナルがあるタブリーズまで行くことができれば、そこから先はなんとでもなります。

越境開始
さて、事前情報が全くないので、ドゥバヤジットの大型バスターミナルでタブリーズに行く方法を聞きました。すると「タブリーズまではペトロ(ガソスタ)から1時間に1本ぐらいミニバスが出てるよ!料金は200リラ」と教えてくれました。旅行当時は1リラ=3.6円ぐらいなので、およそ800円です。タブリーズまで350km近くあるのに、本当にそんな格安でそんなに本数が出てるのか?と疑問に思いましたが、9/20(土)の朝5:30、アララト山に登って満身創痍の身体を引きずりペトロに向かいました。参考までに、ペトロの場所はここです。

ドゥバヤジットは標高1,500mの町で、それなりに寒いです。ペトロの売店で熱々のコーヒーを買い、店員のおっちゃんに「タブリーズ行きのミニバスはどのぐらい後に来るの?」と聞くと、「1時間半後ぐらいかな」と言っていました。7時から運航開始ということで、バスタで聞いた情報と概ね一致します。今から1時間半もこんな所で待つのか......と若干やる気を失くしながら外に出ると、なんとタイミングよくミニバスが通りがかりました。
ミニバス運ちゃん「どこ行くの?」
私「タブリーズ!」
ミニバス運ちゃん「乗りな!」
運賃は1人100リラでした。豪運によりタブリーズ移動問題解決!めでたしめでたし


とは当然いきませんでした。タブリーズ行きと聞いていたこのミニバスはなんと、国境のゲート行きだったっぽいです。どうりで安くて本数が多いわけだ。
越境
というわけで国境で降ろされました。国境からイミグレまではそれなりの距離を歩かされます。アララト山がここ数日で最も奇麗に見えて感動でした。

トルコ出国は「日本人はイランビザいるのか」「いりません」と答えるだけでした。イラン側ゲートは何故か閉まっており、15分程度待たされました。この待ち時間で得た情報によると、イラン入国後はタクシー(5ドル)かバザルガン発のバスでマク(Maku)の町に行き、長距離バスでタブリーズに向かうのが普通だそうです。イランのタクシーは基本的にドルを受け取ってくれます。
さて、日本人はイランビザが(2025年9月20日入国時点では)必要ないはずなので、当然ビザは用意していませんでした。イラン入国のパスポートコントロールで意気揚々と天下のジャパニーズパスポートを見せると、パスポートコントロールのおっちゃんが険しい顔になり、どこかに電話しだしました。電話が全く終わる気配がなく、「そこで待っていろ」とパスポートコントロールを通過した所で待たされました。
「もしかして入国拒否?」とソワソワしながら待っていると、トルコ人のおっちゃんが何の問題もなく入国してきて、お話して仲良くなりました。このおっちゃんはイスタンブールで宝石商のようなことをやっているらしく、イランで材料を仕入れているらしいです。
おっちゃんとダラダラ話しているとパスポートコントロールのおっちゃんに呼び戻され、入国できる旨と入国スタンプを押すかどうか聞かれました。こんなところを陸路で通る日本人など0に等しいはずなので、情報が無かったんでしょうね。どうせイスラエルには行かないし、アメリカはビザ申請するつもりだったので、記念に押してもらいました。これをお読みの方は当然ご存知でしょうが、イラン入国するとアメリカにESTAでの入国はできなくなります。スタンプ拒否もできます。

こうして無事にイラン入国を果たしました。がまだまだ問題は山積みです。ご存知の通り、イランは経済制裁によりクレジットカードの利用ができません。イランのお金(イランリアル・トマン)も当然持っていないため、この先どうしようかなと考えていると、先ほどのトルコ人のおっちゃんが「俺についてこい」と言いました。当てもないので、とりあえずついていくことにしました。
バザルガンに着くまで
イミグレを出ると、凄まじい量の怪しい両替人と怪しいタクシードライバーに声をかけられました。彼らは恐らく無知な外国人を狙っているので、応対しないほうが良いと思われますが、どうしようもなくなったら頼るしかないかもしれません(バザルガンの町は歩ける距離にあり両替商もいくつかあるので、バザルガンまで歩いても良いかもしれません)。
トルコ人おっちゃんが1台のタクシーを捕まえて、一緒にバザルガンの町まで移動しました。余談ですが、イランはバザルガン・マクはトルコ由来の人が多く、タブリーズはアゼルバイジャン由来の人が多いため、トルコ語が通じます。テヘランやイスファハーンまで行くと、ペルシャ語しか通じなくなります。


おっちゃんは「最初に両替商に行きたいが、まだ空いていないのでお茶をしよう」と誘ってくれました。そこでいろいろな話をし、彼が日本人に優しいのは津村諭吉さんという偉大な祖先のおかげであることを知りました。恥ずかしながら私は津村諭吉さんのことを知らなかったため、これを機に勉強しました。皆さんもトルコに行かれる機会があれば、ぜひ調べてみてください。
余談ですが、イランではめちゃくちゃ「中国人か?(チーニー)?」と聞かれます。本当にめちゃくちゃ聞かれます。何故とは言いませんが、「日本人(ジャーポニー)」と答えられるようになったほうが良いでしょう。

タブリーズに着くまで
30分ほどお茶を飲んでいたのですが、おっちゃんが「両替はタブリーズでやるので、タクシーでタブリーズまで行こう。25ドルでどうだ」と提案してきました。タブリーズまでは350km近くあり、4時間近くかかるためタクシー代が異常に安すぎないか、と若干不安になりましたが、本当に25ドルでした。

移動中に聞いた話だと、イランは1ドルあればガソリンを50L買うことができ(さすが産油国)、またイラン人の一般月収は50ドル程度だそうです。この話を聞いて、タクシー代金の安さにある程度納得しました。ちなみに今回の話では出てこないですが、タブリーズからイスファハーンにもやむを得ずタクシーで移動しまして、1,000kmで10時間ほどかかり、なんと50ドルでした。破格すぎる。ちなみに街中移動は1、2ドル程度が相場です。
また、次の写真のような青いトラックが大量に走っています。これはニッサンジュニアという大昔に日産が生産していた車で、イラン国内ではなんと今でも生産が行われているらしいです。

イランの長い移動時間や待ち時間では、行動食としてひまわりの種が必携です。イランのひまわりの種は本当においしいので、手に入れるチャンスがあれば是非買ってください。最初は食べるのが難しいですが、慣れればパクパクいけます。バス待ちなど暇な時間はずっと食べてました。

タブリーズの中心街に着く前に両替商に寄りました。Goodレートは2025年9月時点では1,000,000リアル(100,000トマン)で1ドルです。ハイパーインフレですね。桁が大きすぎて騙してくる両替商もいるらしいので気を付けてください。こちらのサイトが参考になります。1,000,000リアルが日本で言う10,000円のようなもの(1番高い紙幣)で、100ドル替えると100枚ほど渡されます。

ちなみに水色の0(4つ)をすべて無視した金額(右下に書いてある金額)を1.5倍すると大体日本円になる、と考えると理解しやすいです。私はその計算式を使っていました。別の表現をすると、0を6つ消した額がドル相当ですね。
そんなこんなで無事にイランのお金も手に入れ、タブリーズ観光にいそしむことができました。このトルコ人のおっちゃんにはタクシー代・食事代・茶代をほぼすべて出してもらった上にイスファハーンまでついてきてくれて、意味が分からないぐらい優しすぎて逆に疑っていましたが、本当にただ優しいだけのおっちゃんでした。津村諭吉さんとおっちゃんに感謝です。

この後、イスファハーン行きのバスチケットは売り切れていました。長距離バスチケットは早めに買いましょう。
終わりに
いかがだったでしょうか?ご覧の通り、国境までの移動はとても簡単です。国境を越えてからが勝負ですが、イランの国民性は(特に日本人に対しては)優しく、何とかなると思います。タブリーズに着けば勝ちなので、そこまでは騙されないように頑張ってください。個人的には騙されても死ぬような国ではないという印象を受けました。
現金だけはドルでたくさん持っていきましょう。
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